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2023.02.09
COLUMN
【特別コラム】皮膚科医 山崎まいこ先生の敏感肌コラム①

 ◆そもそも敏感肌とはどのような肌状態を指すのでしょうか?

敏感肌という医学用語があるわけではないので、正確な定義はありません。
一般的には、痒みがでやすい、合わない化粧品が多い、季節の変わり目にトラブルが起き やすいといった何かしらのトラブル症状が、一年を通して表れやすい肌を敏感肌と呼ぶこ とが多いです。 肌が敏感な状態とは、バリア機能が崩れて、いろいろな外的要因に対してリアクションし やすい状態、過剰に反応してしまう状態です。
肌は自分と外界との境目であり、異物を自分の中に取り込まない壁のようなものですから、 肌のバリア機能が弱くなる=異物から肌を守る機能が弱くなる、ということになります。

◆敏感肌になる原因はあるのでしょうか?

肌が敏感になる原因はたくさんあります。 バリア機能が低下すると肌は敏感になりますが、遺伝的に肌の保湿因子をつくる力が弱 く、バリア機能が崩れやすい方もいます。
遺伝以外では、肌の乾燥、紫外線、大気汚染、花粉、ほこりなどの外的要因も、バリア機 能を崩す原因となります。

それ以外の要因としては、栄養状態、睡眠不足、間違ったスキンケアなども挙げられま す。栄養が不足していたり、偏っていたりすると、ミネラルバランスの崩れで角質層の代 謝がスムーズにいかず保湿因子がつくれないため、肌の免疫が過剰に働く状態になってし まいます。また、睡眠不足が続くと、肌の修復ができにくくなります。過度なクレンジン グや洗顔、刺激が強い化粧品を使い続けることも、肌を傷めて角質層のトラブルを引き起 こす場合もあります。

◆敏感肌の人は食事面ではどのようなことに気をつければいいですか?

肌を構成する栄養素が不足すると、肌の新陳代謝がうまくいかなかったり、うるおいを保ち にくくなり、肌のバリア機能が低下します。
栄養不足という面では、食べる量が少なくて肌に必要な栄養を十分に取れていない方が多 く、またヘルシーでいようと気をつけすぎて、油やたんぱく質が少ない方も多いですね。 良質な油を一定量摂ることは、肌はもちろん身体全体にとって大事ですし、たんぱく質が足 りなければ角質層の保湿因子をつくりだすことができません。

バランスの良い食事は基本ですが、砂糖、グルテン、牛乳、卵など、アレルギーを起こしや すい物質を取りすぎないことも重要です。

◆どのようなメカニズムでお肌が痒くなったり、化粧品が沁みたりするのでしょうか?

肌のバリア機能が崩れると、刺激が深部にまで届きやすくなり、外的要因や化粧品の成分 に反応しやすく、トラブルが起こりやすくなります。
トラブルが起こってバリア機能が低下してしまうこともあるので、卵が先か鶏が先かでは ありますが、いずれにしろ、いったんバリア機能が低下すると刺激や細菌などに反応して 肌がミクロレベルで炎症を起こし、それがごわつきになり、かゆみになり、赤みや痛みへ と発展していきます。